「お口の健康」からはじめる
フレイル予防

1)正しいお口のケア方法を知ろう!

  1. 1.歯と歯ぐきの境目は特に注意してみがきましょう。
  2. 2.歯と歯の間の歯垢除去には、歯間ブラシやデンタルフロスをできるだけ毎日使用しましょう。歯ブラシだけでは清掃効果は60%位しか期待できませんが、歯間ブラシを併用すると85%まで上昇します。
  3. 3.舌清掃は、やわらかめの歯ブラシや舌クリーナーを使用します。舌苔を除去する際には、力を入れすぎないように注意しましょう。
  4. 4.義歯を清掃する時には、落として割らないように洗面器に水を張って行うと良いでしょう。必ずブラシを使ってこすり洗いをしましょう。この時に歯磨粉を使ってしまうと、義歯の表面に細かい傷がついて、細菌が繁殖しやすくなります。汚れや臭いが気になる場合は、義歯洗浄剤を定期的に使うとよいでしょう。
  1. 2)お口のトレーニングをしよう!

    1.咀嚼機能の向上訓練(開口訓練)

    開口訓練・・・咀嚼に使う咬筋をきたえる体操です。「あー」とできるだけ口を大きく開け、舌を上あごに押し付けて奥歯でかみしめる「んー」を3回繰り返します。

    噛むための筋肉を鍛える/咀嚼筋の代表が、こめかみ上の側頭筋と頬の後ろの咬筋。また舌の筋肉や、首や肩などの上半身の筋肉も、咀しゃくに深く関わっています。これらの筋肉を鍛えておきましょう。/「あー」「んー」の体操:1.できるだけ大きく口を開ける。(あー)。2.舌を上あごに押し付け、奥歯を噛み締めて声を出しましょう。(んー)。これを3回繰り返す。

    ※図「 噛むための筋肉を鍛える」出典:健康長寿新ガイドラインシリーズ『お口の健康 かむ力と飲み込む力の強化法』監修/東京都健康長寿医療センター研究所 健康長寿新ガイドライン策定委員会 発行/社会保険出版社

  2. 2.舌のトレーニング

    舌を動かすストレッチや、頬の内側に舌先を押し付けて負荷をかける訓練は、食べ物を口の中で処理して、のどに安全に送り込むために効果的な訓練です

    舌のストレッチと舌負荷訓練/舌の動きが良くなると、唾液も出やすくなり、飲み込みがスムーズになります。/舌の体操:1.口を開けて舌をできるだけ出す。2.上くちびるを舌で触るように上に持ち上げる。3.左右の口の端を舌先で触るように動かす。これを繰り返しましょう。

    ※図「 舌のストレッチと舌負荷訓練」出典:健康長寿新ガイドラインシリーズ『お口の健康 かむ力と飲み込む力の強化法』監修/東京都健康長寿医療センター研究所 健康長寿新ガイドライン策定委員会 発行/社会保険出版社

  3. 3.口唇のトレーニング

    口をすぼめる「うー」と口角を横に開く「いー」を繰り返します。唇の力を維持することは、食べこぼしの防止や、飲み込む力を維持するためにもとても重要です。

  4. 4.唾液腺マッサージ

    耳下腺、顎下腺、舌下腺の周囲に手を当て、力を入れずに優しくマッサージします。力を入れすぎたり、やりすぎないように注意しましょう。

    唾液腺マッサージ/唾液腺を優しくマッサージすると、唾液が出ます。唾液が多いと、食べ物が口の中でまとまり、飲み込みやすくなります。

    ※図「 唾液腺マッサージ」出典:健康長寿新ガイドラインシリーズ『お口の健康 かむ力と飲み込む力の強化法』監修/東京都健康長寿医療センター研究所 健康長寿新ガイドライン策定委員会 発行/社会保険出版社

  5. 5.滑舌のトレーニング(パタカラ体操)

    口唇、舌の先端、舌の奥を意識しながら、パ・タ・カ・ラの音を発音してトレーニングをしましょう。繰り返し続けることで、滑舌が良くなるほか、食べる機能の維持向上にも効果があります。

  6. 6.嚥下訓練 ブクブクうがいとガラガラうがいの繰り返し

    喉は、空気と飲食物の通り道がクロスする複雑な構造をしています。安全に飲み込むためには、首や肩の周りのリラクゼーションがとても重要です。また、毎日のブクブクうがいとガラガラうがいを意識的に繰り返すことで、舌の奥の方の筋肉や飲み込みの機能向上が期待できます。

みんなで取り組むことの大切さ

お口の健康づくりは、毎日少しずつ続けることが大切です。継続するコツは、家族や友人と一緒に取り組むことです。美味しく楽しくみんなで食事を食べたり、会話を楽しむなど、共通の目標をもって続けていきましょう!

口腔機能の維持・向上

東京都保健医療局のホームページでは、口腔機能の維持・向上について、リーフレットや動画を紹介しています。下記リンクよりぜひご覧ください。

このページ(予防のポイント+1「お口の健康(口腔)」、やってみよう!口腔チェック!、「お口の健康」からはじめるフレイル予防)について

原稿作成:
小原 由紀((地独)東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム(口腔保健と栄養研究) 専門副部長)

参考文献:
1. 厚生労働省. 平成28年歯科疾患実態調査結果の概要. https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/62-28-02.pdf(2019年10月17日アクセス可能).
2. 本川佳子ら. 地域在住高齢者における咀嚼機能と栄養素・食品群別摂取量および低栄養との関わり. 日本老年医学会雑誌 2017; 54(Suppl): 205.
3. 那須郁夫ら. 全国高齢者における健康状態別余命の推計,とくに咀嚼能力との関連について. 日本公衆衛生雑誌 2006; 53(6):411-423.
4. Tanaka T, et al. Oral frailty as a risk factor for physical frailty and mortality in community-dwelling elderly. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2018; 73(12): 1661-1667.