フレイルとなる原因は何?

生活機能の加齢変化パターンは4つにわかれ、フレイルになる時期は各パターンによって大きく異なります。生活機能が低下する2大原因は、生活習慣病等の疾病と老化です(図4)。4パターンのそれぞれにおいて、2大原因がどのように関係しているのでしょうか。また、フレイルになるその他の要因にはどのようなものがあるのでしょうか。

生活機能が低下する二大原因/疾病:がんの他、メタボ、高血圧、糖尿病などが原因となる脳卒中、心臓病、腎臓病など/老化:認知・口腔・筋力/歩行の機能低下、低栄養、閉じこもり、抑うつなど

図4.生活機能が低下する二大原因

2大原因との関係について

生活機能の加齢変化パターン/生活機能の自立度が高い順(90歳時点):Dパターン、36.3%/Cパターン、40.1%/Bパターン17.4%/Aパターン、6.1%(生活機能は老研式活動能力指標を用いて測定)(Taniguchi Y et al.J Gerontol A Biol Sci Med Sci(2019)の図を改変)

図3.生活機能の加齢変化パターン(再掲)

Aパターン

他のパターンに比べて、高血圧、糖尿病さらには脳卒中や慢性腎臓病などの持病を抱えている人が多く、65歳時点ですでにこれらの生活習慣病が重症化しているためにフレイルになると考えられます。

Bパターン

背景はまだよくわかっていませんが、65歳から74歳の時期に生活機能が急速に低下していくことから、この時期、持病の慢性疾患(生活習慣病など)の治療・管理がうまくいかず、75歳頃にフレイルになると考えられます。

Cパターン

持病の慢性疾患をもっている人は多いのですが、80歳頃から生活機能の自立度が低下していることから、この時期に顕在化しやすいロコモティブ症候群や認知症、低栄養などの老年症候群※※の関与が大きいと考えられます。

Dパターン

90歳になってもフレイルにはならず、生活機能が保たれています。このパターンは、“サクセスフルエイジング(=健やかな老い)”とよばれ、高齢期を通して疾病や老化による影響をあまり受けずに、うまく年齢を重ねていきます。

※ロコモティブ症候群:運動器すなわち骨、関節、筋肉の病気(例えば、骨粗鬆症や変形性関節症)が原因となって、移動能力(=歩く力)が低下した状態をさす言葉。

※※老年症候群:加齢とともに急激に増えてくる病態を総称する言葉。ロコモティブ症候群、認知症、低栄養の他、転倒、うつ、閉じこもりなどを含みます。老年症候群には、老化が密接に関連していると考えられています。

その他の要因について

フレイルはさまざまな要因によって生じる多要因症候群です。2大原因は、前述したように疾病(生活習慣病など)と老化ですが、他にも喫煙、うつ、孤立なども、疾病や老化の過程に影響してフレイルを生み出す要因となります。

このページについて

原稿作成:
新開 省二((地独)東京都健康長寿医療センター研究所 副所長)

参考文献:
1. Taniguchi Y, et al. Association of trajectories of higher-level functional capacity with mortality and medical and long-term care costs among community-dwelling older Japanese. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2019; 74(2): 211–218.
2. 東京都健康長寿医療センター研究所.フレイル.健康長寿新ガイドライン エビデンスブック.東京: 社会保険出版社. 2017; 84-95.