「なにごともない、明日を守る。」
私たちの仕事は都民の生命と健康を守ること。
行政としての仕組み作りなどを通して、
医師+αの力が引き出される場所です。
石原 美千代;イメージ 石原 美千代;イメージ

公衆衛生活動は
統計と疫学による
サイエンス

石原 美千代

区保健所勤務 
部長級
目黒区保健所

2023年2月時点

特別区保健所の業務紹介

地域の実情に合った
きめ細かい取組を行っています。

 特別区の保健所では、八王子市(中核市)、町田市(その他政令市)と同様に、保健所と保健センターの仕事、すなわち広域的・専門的業務とともに、基礎自治体として住民に身近な地域保健サービスも行っています。
 目黒区保健所では、公衆衛生の理念「環境対策と生活習慣対策」に基づいて、広域的・専門的業務に加えて住民への保健事業を実施しています。東京都と密接に連携しながら、地域住民との直接のふれあいを大切にして、地域の実情に合ったきめ細かい取組を行っています。

特別区保健所の業務紹介;イメージ

公衆衛生の歴史と理念

感染症をはじめとする健康問題を公衆衛生で克服してきた歴史

 公衆衛生は、産業革命による都市部への人口集中によって生じた感染症を中心とする疾病対策として、大きく進展しました。19世紀初頭には死亡の4人に1人が結核死だったと言われています。その後、1882年に結核菌が発見され、1895年にX線が発見され撮影法が発明されましたが、その頃には結核死亡率は半減し、さらに1950年頃にストレプトマイシンが使用されるようになった頃には10分の1になっていました。つまり、原因不明であっても、治療薬がなくても、環境対策と生活習慣改善により、不治の病であった結核も克服できることが示されたのです。一方、1930年代の米国では胃がんの死亡率が非常に高かったのですが、冷蔵庫の普及や衛生環境が改善されたことにより、死亡率は激減しました。時代は変わりましたが、現在問題となっている新型コロナウイルス感染症、また、がん等の健康問題も公衆衛生の理念(環境対策と生活習慣対策)に基づいた活動を行えば、必ず克服できるはずです。

入職希望者へのメッセージ

 保健所業務は、住民に対する疾病予防(一次予防)、医療機関と連携した疾病対策(二次、三次予防)と医薬品、医療機器、食品衛生、動物対応等の全ての人の安全な生活のための対策を実施しています。そのため、保健所では多職種(保健師、管理栄養士、歯科衛生士、衛生監視員、事務職など)が働いており、地域の医療機関や介護・福祉等の関係機関と連携しながら、業務を遂行しています。公衆衛生活動を推進することにより、美しく、安全な地域に変えて行くことができるはずです。
 公衆衛生医師はこれまでの経験全てを活かせる仕事です。東京都には都内31保健所をはじめとする公衆衛生医師にとって魅力のある、様々な経験ができる職場があります。あなたも働いてみませんか。

PROFILE

入職前の経歴:臨床医として放射線科で勤務していました。1型糖尿病のコントロール不良で体調を崩して、自分のライフワークバランスを考えるようになりました。

好きなこと:映画鑑賞

座右の銘:一隅を照らす