保健所だより第65号 東京都では、9月と3月を自殺対策強化月間と定め、自殺防止を呼びかけるキャンペーンに取り組んでいます。
警察庁の資料(自殺統計)によりますと、平成10年以降、日本の自殺者数は毎年3万人を超える状態が続いています。平成10年から平成21年までの12年間に全国で約39万人以上の方が自殺で亡くなりました。
みなさんはご自分が住んでいる市の人口をご存知ですか?
多摩府中保健所が管轄する北多摩南部保健医療圏(武蔵野市、三鷹市、府中市、調布市、小金井市、狛江市)には、およそ96万人の方が暮らしています。この数字と比較すれば、毎年3万人を超える方が自殺で亡くなっているということがいかに深刻な状況であるか、ご理解いただけるのではないでしょうか。
自殺の現状
(1)自殺者数の推移(男女別/ 全国過去15年)
資料:警察庁資料(自殺の概要資料)
(2)平成21年 自殺死亡率(年齢階層別、男女別)
資料:厚生労働省「人口動態統計」
(3)平成21年 年齢・階層別死因(全国)
資料:厚生労働省「人口動態統計」
自殺に関する3つの基本認識
(1)自殺は追い込まれた末の死です。
自殺は「自らが死ぬことを選んだ“意思的な死”」というイメージがあるかもしれませんが、実際には、心身の病気、経済問題、過労、家庭問題、職場問題などさまざまな要因が影響しあい、心理的に追い込まれた末の死であることが少なくありません。
(2)自殺は防ぐことができます。
世界保健機関(WHO)が、2003(平成15)年に、世界自殺予防デーに際して発したメッセージの中で「自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題である。」と明言したように、自殺は社会の努力で避けることができる死であるということが、世界の共通認識となりつつあります。
制度・慣行の見直しや相談・支援体制の整備など社会的な取り組みと、うつ病など精神疾患への適切な治療により、自殺は防ぐことができます。
(3)自殺を考えている人は悩みを抱えながらもサインを発しています。
自殺を考えている人は悩みを抱えながらも何らかのサインを発しています。家族、知人、同僚などに悩みを打ち明けられたり、いつもと様子が違うなと感じたら、声をかけてあげてください。そして話を聴いてあげてください。相手の気持ちを受け止め、専門機関への相談を促すなど、私たちにもできることはあります。
自殺のサイン(自殺予防の十か条)
1 うつ病の症状に気をつけよう(気分が沈む、自分を責める、仕事の能率が落ちる、決断できない、不眠が続く)
2 原因不明の身体の不調が長引く
3 酒量が増す
4 安全や健康が保てない
5 仕事の負担が急に増える。大きな失敗をする。職を失う
6 職場や家庭でサポートが得られない
7 本人にとって価値あるものを(職、地位、家族、財産)を失う。
8 重症の身体の病気にかかる
9 自殺を口にする
10 自殺未遂におよぶ
~出典:平成20年版「自殺対策白書」(内閣府)~
SOSに気づいたら
(1)気になる人がいたら声をかけてみましょう。
「何かお困りですか?」「体調はいかがですか?」
(2)じっくり話を聴きましょう。
話をはぐらかしたり、せかしたり、叱咤激励したりせず、相手のペースに合わせてじっくりと話を聴き、相手の気持ちを受け止めましょう。
(3)相談できる窓口があることを伝えましょう。
行政、医療機関、弁護士等、相談できる専門機関があることを伝え、相談してみるように勧めましょう。
~ 周りの声かけが一人ひとりの命を守ります ~
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このページの担当は 多摩府中保健所 企画調整課 企画調整担当 です。
