保健所だより第42号 ノロウイルス食中毒にご注意
ノロウイルスが流行しています
今年もノロウイルスが流行しています。既に全国各地からノロウイルス感染症や食中毒の発生が伝えられています。都内では区内の学校の寮で、同じ給食を食べた学生が嘔吐、下痢等の症状を訴え、120人の患者を超える大規模な集団食中毒が発生しています。また、当保健所管内の学校、保育園、社会福祉施設などでも感染症が多発しています。この時期まだまだ注意が必要です。
ノロウイルスについては、まだ研究段階で解明できていないことも少なくありません。東京都では、ノロウイルスによる集団感染を防止するため、調査研究に取組んでいます。今回は、最新の知見を交えながらノロウイルス食中毒防止策について紹介します。
ノロウイルスについて簡単におさらい
ノロウイルスには、食中毒と感染症の二つの感染経路があります。このうち、食中毒はノロウイルスに汚染された食品を食べることで感染します。ウイルスが体内に取り込まれてから1日から2日でおう吐、下痢、腹痛、発熱などを発症します。通常3日程度で回復しますが、乳幼児や高齢者は重症になることがあり注意が必要です。また、感染しても症状の出ない人もいます。
感染者の便やおう吐物には、ウイルスが大量に含まれています。これは症状が治まっても便から排出されることがあり、長い場合1ヶ月程度排出されることがあります。手指を介して食品が二次汚染され、他の人へ感染を拡げる恐れがあるため、トイレ後の手洗は大切です。
ノロウイルスに関する最新情報
空気を介した汚染の可能性 ウイルスは長時間空気中に浮遊します
ウイルスの培養液を霧状にして噴霧すると、極めて小さな粒子が長時間(12時間以上)空気中を漂うこと、またウイルスの量についても噴霧直後とほぼ同量であることが分かりました。また、おう吐時にウイルスを含む粒子が発生し、空気中に少なくとも1時間浮遊することも分かりました。
間接的な接触感染の可能性 ドアノブからも汚染は拡がります
ウイルスで汚染された手でドアノブに触り、ウイルスがドアノブに付着した場合、ドアノブを介してウイルス汚染が広がっていくことが分かりました。今回の調査では、ドアノブを介して汚染された手でキャベツを取り分けた場合、そのキャベツからもウイルスを検出することが実証されました。
飲食店等での衛生管理
おう吐物から飛散したウイルスが経口的に吸入されて、他の人へ感染を拡げてしまう恐れがあります。施設内でおう吐があった場合、まず手袋、マスク、エプロンなどを着用し、おう吐物を適切に処理します。おう吐物の処理は調理従事者以外の方が行うことが望ましいです。またおう吐物のあった場所に立入る人を最小限にし、窓がある場合は速やかに窓を開け換気をします。
手指から食品への二次汚染を防ぐため、トイレ使用後の手洗はもちろんですが、調理に入る直前に再度十分な手洗をしましょう。またトイレのドアノブなど手の触れる所を塩素系漂白剤でときどき消毒しましょう。
ノロウイルス食中毒を防止するために
しっかり手洗い
ノロウイルス食中毒を防ぐ最も重要で効果的な方法は「流水・石けんによる手洗い」です。最近では、カキなど二枚貝の生食や加熱不足による食中毒よりも、調理従事者の手指からの二次汚染による食中毒が目立っています。正しい手洗いで、ノロウイルス食中毒を防止しましょう。
手洗いのポイント
- 手洗いのときは腕時計や指輪をはずしましょう
- 1度だけでなく、2度洗うとより効果があります
- お湯を使うと、寒い季節でも十分な手洗いにつながります
- 石けんを使うときはよく泡立てましょう
日頃から必要なものを準備しましょう
感染者のおう吐物や便には、ノロウイルスが大量に含まれています。感染力は強く、わずかな量のウイルスで感染します。日頃からおう吐物などの処理を行うキットを準備しておくと、迅速な処理に役立ちます。
100円均一店で揃う吐物処理に使えるもの
消毒用塩素溶液を作るとき
- じょうご
- 軽量カップ
- ペットボトル(無料)
- ペットボトル用保冷カバー(作った消毒液を保存するとき:塩素が飛ばないよう遮光)
- 洗面器、バケツ(大量に作るとき、浸け置きするとき)
吐物処理時のコスチューム等
- マスク
- エプロン
- 手袋
- ガラスクリーナー
- ちりとり
- ビニール袋
- ペーパータオル
お問い合わせ
このページの担当は 多摩府中保健所 生活環境安全課 食品衛生第二担当 です。
