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こうしておこった食中毒【家庭編】⑥学校で栽培したジャガイモによる食中毒

あらまし

 7月の中旬、小学校から保健所に、学校で栽培したジャガイモをゆでて食べたところ、20分後に児童6名が吐き気、おう吐等の症状を呈したとの連絡がありました。保健所で調査したところ、患者らは、理科の学習で栽培した男爵いもを、家庭科の調理実習の食材として使用していました。調理実習では、比較的大きいジャガイモは皮をむき、茹でて粉ふきいもとし、小さいジャガイモは皮のままゆでて喫食していました。

 患者は喫食後15分から1時間で吐き気等を呈しており、ソラニンによる食中毒症状に合致すること、ジャガイモと患者の吐物からソラニンを検出したこと、校医から食中毒の届出があったことから、保健所は「ジャガイモ」が原因食品の食中毒事件と断定しました。

おこった原因

 小学校では、約8平方メートルの花壇に種いも52個を植えていました。いもは地表から約5から10cmの比較的浅いところに生育しており、間引きもしていなかったことなどから密集して生育していました。さらに長梅雨の影響等により、直径3cm程度、約20gの小さい未成熟なジャガイモが収穫されました。

 ジャガイモは収穫してから2日間、泥付きのままザルに入れて、校舎内の直射日光は当たらないが暗闇ではない場所で保存されていました、調理実習の際、粉ふきいも用のジャガイモの大きな芽は包丁で、こそぎ取り、皮をむいていました。しかし、小さなジャガイモについては、目立つ芽を指でつまみ取って除いていましたが、若干緑色を呈したジャガイモが混ざっていたことが聞き取り調査で判明しました。

 小さく未熟なジャガイモを喫食したこと、緑色を呈したジャガイモを喫食したこと、芽の除去が不十分であったことから、食中毒が発生したと考えられました。

予防のポイント

 ジャガイモの発芽部分には有毒成分であるアルカロイド(主にα-ソラニンとα-チャコニン)が含まれています。ジャガイモを安全に食べるためには、芽の部分はきちんと取り除き、緑変した部分の皮は厚めにむくようにしましょう。

 また、自分で栽培した小さく未成熟なじゃがいもはアルカロイド含有量が多いと言われているので注意が必要です。

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