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こうしておこった食中毒【家庭編】⑤餅つき会でのノロウイルス食中毒

あらまし

 1月中旬に、幼稚園から保健所に「幼稚園で餅つき会を行ったところ、園児等がおう吐等の症状を呈している」との連絡がありました。

 保健所が調査したところ、幼稚園では10時から13時まで餅つき会を行っており、参加者に餅(みたらし、きなこ、あんこ、おろし醤油、磯部巻き)と豚汁が提供されていました。参加者は園児や家族、幼稚園の職員など340名で、そのうち136名が餅つき大会の翌日1時から下痢、おう吐、発熱等の症状を呈していました。患者の発症状況は一峰性であり、潜伏時間や症状はノロウイルスによるものと一致していました。また、患者の共通食は餅つき大会で提供された餅のみであり、患者のふん便からノロウイルスが検出されました。以上の結果から、保健所は幼稚園の餅つき大会で提供された『餅つきの餅』を原因とする食中毒と決定しました。

おこった原因

 幼稚園内のキッチンで蒸された餅米を、園内のホールに移し、餅つきは園児の父親や園児等が、餅の返しは職員や園児母親等が行っていました。つきあがった餅は、別室にてちぎられ、バット上で調味し、各家庭が持参した皿等に入れられ提供されていました。

 餅つきの全工程が素手で行われており、作業前やトイレ後の手洗いは徹底されていませんでした。また、返しの水は交換されていましたが、容器の洗浄はされておらず、他の器具類も途中段階で十分な洗浄、消毒を行うことなく使用されていました。

 このことから、餅つきの最初の時点で臼や杵、返しの水が何らかの原因によりノロウイルスに汚染され、それらを介して餅を汚染し続けたと考えられました。

予防のポイント

 「餅つき」は、手に触れる工程が多いため、餅に菌やウイルスがつきやすく、注意が必要です。今回の事例のように餅つきでノロウイルスを原因とする食中毒が全国で起こっています。

 作業前の手洗いや餅つきの前に体調が悪かった人は調理を避けるのは言うまでもありませんが、「杵でつく」餅つき用の餅とは別に、みんなでその場で食べる餅(市販やもちつき機でついたもの)を用意するなどして、ノロウイルス食中毒を避けるようにしましょう。

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