タンスからの移染
タンスからの移染(調査結果)
皆さんは「ホルムアルデヒド」という物質を聞いたことがありますか。
ホルムアルデヒドは濃度によっては、吸入するとのどに炎症を起こしたり、触れることで皮膚に炎症を起こすことがあります。
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そのため、通常販売されている衣類にはホルムアルデヒドの濃度について規制があり、安全性が企業側に求められています。しかし、家具類にはホルムアルデヒドの放散量についての規制がありません。そのため、タンスからホルムアルデヒドが放散され、タンスに入れた衣類に移る場合があります。
その現象を「移染」といいます。
タンスの中に衣類を入れたとき、どのくらいホルムアルデヒドが衣類に移染するか試験してみました。
≪試験対象≫
ホルムアルデヒド移染の調査に使用したタンスは計13種類
一般のタンス(平成13年度購入) 8種類
ベビーダンス(平成14年度購入) 5種類
試験対象のタンスにウール製のマフラーと靴下を入れて96時間後にどのくらいホルムアルデヒドが移染したか測定しました。
結果
一般のタンス (平均値、ppm)
マフラー 66.3
靴下 36.8
ベビーダンス
マフラー 14.1
靴下 5.0
注釈:試験前のマフラーと靴下からはホルムアルデヒドは検出されていません。
右のグラフのとおり、ベビーダンスの方が一般のタンスより移染濃度が低いということがわかりました。
「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」による規制は以下のとおりです。
対象繊維製品
ベビー用(24ヶ月以内) おしめ、おしめカバー、よだれ掛け、下着、寝衣、帽子、寝具、手袋、くつ下、中衣、外衣
子供用・大人用 下着、寝衣、手袋、くつ下、たび
規制値
ベビー用(24ヶ月以内) 所定の試験方法で吸光度差0.05以下又は16ppm以下
子供用・大人用 75ppm以下
ベビー用繊維製品については、
- 赤ちゃんがなめると予想されること
- ホルムアルデヒドに対するアレルギーを起こす可能性が高いこと
- 赤ちゃんの皮膚感受性が高いこと
という理由から、販売時には、ホルムアルデヒドの残留規制があり、ホルムアルデヒドは原則検出されないこととなっています。
また、ホルムアルデヒドは、水に溶けやすく、大人用の衣類でも洗濯することで衣類のホルムアルデヒド残留濃度は低下します。
しかし、せっかく洗濯した衣類もホルムアルデヒドを放散するタンスにしまうことでホルムアルデヒドが移ってしまうこともあるのです。
ホルムアルデヒドの移染濃度は、タンスからのホルムアルデヒドの放散量に影響を受けます。ホルムアルデヒドの放散量は、ベビーダンスの方が一般のタンスより低く、移染濃度も低くなっています。
肌が化学物質に過敏な人や乳幼児の衣類を入れるタンスは、ベビーダンスとして売られているものを購入することをお勧めします。さらに、密閉のできるビニール製の袋に入れるとより効果的です。
さて、先ほどホルムアルデヒドの放散量について触れましたが、その測定結果については、次のとおりです。
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このページの担当は 健康安全部 薬務課 監視指導担当(03-5320-4512) です。
