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小児がんの療養生活 ~知っておきたい10のポイント~

執筆 片山 麻子 (公益財団法人がんの子どもを守る会)(令和4年3月)

目次

はじめに

 小児がんは厳しい治療と長期間に及ぶ経過観察を要する病気です。医療技術の進歩により7~8割を超える子どもたちが治療を終えて日常の生活に戻りますが、治療後もさまざまな困難を抱えながら生活を送られる方もいます。闘病生活や小児がん経験者の自立には、身近な人々のサポートや社会全体の理解が大きな支えとなります。

 ここに、小児がんの療養生活について、患児・家族や小児がん経験者、そして広く周囲の方々にも知っていただきたいことを参考資料(文末)とあわせてまとめました。本ページの作成にあたっては、東京都小児・AYA世代がん診療連携協議会が作成されたリーフレットも参考にしています。リーフレットは東京都内の小児がん診療提供体制を有する病院の相談支援センターで入手することができますので、お気軽に相談支援センターを訪ねてみてください。

1.子どもの権利

 人はみな、生まれながらに自由で平等で、すべての人が人としての権利と尊厳を持っています。これはおとなも子どもも同じです。子どもも人として、「医療を受ける権利」と「自身の病気について年齢や理解度に応じた方法で説明を受け、選択する権利」があります(「ヘルスケアに対する子どもの権利に関する世界医師会オタワ宣言」1998年)。伝え方を工夫すれば小さい子も小さいなりに状況がわかることや、子どもが自分のまわりで起こっている問題をおとなと共有し、理解しあうことで安心につながることも知られています。子どもたちにも、病気や治療のことなど、年齢や理解の度合いに応じて、タイミングをはかりながら、説明していきましょう。

きょうだいの気持ち

 子どもの病気がわかったら、きょうだいにも、できるだけ早い時期に、病気のことや病気によって家族ときょうだいの暮らしがどうなるかなどについて、具体的に説明するようにしましょう。きょうだいたちは、まわりで起こるさまざまな変化について、どうしてそうなっているのか、いつまで続くのかといったことが良くわからず、混乱して不安に感じることが少なくありません。状況がわかれば、きょうだい自身の安心にもつながります。きょうだいのなかには、大きく変わる暮らしの中で、親や周囲からの孤立感や疎外感、罪悪感や自分を責める気持ち、将来に対する不安など、いろいろな感情が引き起こされ、これまでにない反応を見せるきょうだいもいます。まわりのおとなたちは、きょうだいの不安や怒りも含めて理解し温かく見守るように努めましょう。

2.小児がんとは

 小児がんとは、子どもがかかるさまざまながんの総称で、一般的には15歳未満にみられるがんのことをいいます。AYA世代とは、Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとったもので、主に思春期(15歳~)から30歳代までの世代をさし、15~19歳をA世代、20歳代以降をYA世代として分けることもあります。1年間にがんと診断される数は、0歳~14歳で約2,100例、15~19歳で約900例と推計されています。大人のがんとは異なり、生活習慣にがんの発生原因があると考えるものは少なく、また、一部のがんは遺伝するものもあります。
罹患率が高いがん種(全がんに占める割合)*

  1位 2位 3位 4位 5位
0~14歳 白血病(38%) 脳腫瘍(16%) リンパ腫(9%) 胚細胞腫瘍・性腺腫瘍(8%) 神経芽腫(7%)
15~19歳 白血病(24%) 胚細胞腫瘍・性腺腫瘍(17%) リンパ腫(13%) 脳腫瘍(10%) 骨腫瘍(9%)

*国際小児がん分類(International Classification of Childhood Cancer)第3版のグループに基づく悪性腫瘍の順位(ただし「その他の癌」は部位で分類)。がん種間の比較のため、いずれのがん種も悪性の腫瘍のみ。
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ))

小児がんの治療
 
 小児がんの治療は、抗がん剤など化学療法、手術療法、放射線療法、造血幹細胞移植などを、がんの種類や進行度によって単独あるいは組み合わせて行うことが一般的です。小児がんは成人のがんに比べて化学療法や放射線療法の感受性が高いといわれており、現在では約7~8割が治るようになってきました。その一方で、成長途中の小児期に強い治療を受けることは、多彩な合併症(晩期合併症)を引き起こす可能性のあることがわかっており、小児がん患者にとっては、治療終了後の長期フォローアップが重要と言われています。治療によっては妊孕性(妊娠するための力)に影響を受ける可能性もあり、妊孕性を温存するための取り組みもなされています。将来、妊娠・出産を希望する場合には主治医に希望を伝えよく話しあいましょう。
 がんそのものや治療の影響により、体に痛みを感じたり、つらい気持ちになったりするときもあります。病気に伴う心と体のつらさを和らげる「緩和ケア」も、治療初期から積極的に取り入れてもらいましょう。

3.小児がん拠点病院、連携病院

 現在、全国に「小児がん拠点病院」が15施設指定され、患児・家族が安心して医療や支援を受けることができる環境整備が進められています。また、地域の質の高い小児がん医療及び支援を提供し、一定程度の医療資源の集約化を図るため、各地域ブロックの協議会で定められた要件を満たす「小児がん連携病院」も指定されています。東京都においては、「東京都小児がん診療連携ネットワーク」が構築されており、各施設の情報も広く一般に公開されています。
 小児がん拠点病院でないと小児がんの治療が受けられないわけではありません。最新の治療設備や最先端の治療が受けられる病院が良いなど思われるかも知れませんが、病院を選択する際は、病院の設備や規模だけでなく、院内学級の有無などの療養環境や、自宅からの距離など、いろいろな視点で検討してみましょう。

4.正しい知識と情報を得ましょう

 小児がんは希少ながんであり、一人ひとり状態もさまざまです。まずは主治医とよく話し、主治医から情報を得て状態を正確に把握することが大切です。聞き慣れない言葉も多く難しく感じるかもしれませんが、納得できるまで主治医に説明を求め、積極的なコミュニケーションに努めましょう。メモを取りながらなるべく複数で説明を聞くようにしましょう。

 そのうえで、もっと詳しいことを知りたいと思った時には、自分でも調べてみましょう。情報を得ることで漠然とした不安が軽減することもあります。国立がん研究センターの「がん情報サービス」は、わかりやすい言葉で情報がまとめられておりおすすめです。

 情報を入手するにはインターネットは大変便利ですが、さまざまな体験談などもでてきて、どの情報を信じたらよいか迷ってしまうかもしれません。そんなときは、それらの情報が、「いつの情報か」、「誰が発信している情報か」「何を根拠にしている情報か」など確認し、複数の情報を照らし合わせてみましょう。行動する前には、主治医にも確認しながら判断しましょう。

相談支援センターを活用しましょう

 ひとりでは情報を探すのが難しいとき、あふれる情報で判断するのが難しいとき、漠然とした不安を抱えているときなどは、是非、病院にある相談支援センターを訪ねてみてください。療養生活の心配や、医療費や経済的負担のこと、家族のこと、患者会・家族会の情報など、なんでも相談してみましょう。がんの子どもを守る会へ相談することもできます。

5.ひとりで抱え込まずに

 診断から入院、退院から学校、将来のことなど、どうしたらよいか途方にくれるときには、ひとりで抱え込まずに周囲を見回してみましょう。きっと身近に支えてくれる人たちがいます。病院には、医師や看護師、ソーシャルワーカー、心理師などがいます。相談の窓口として相談支援センターがあります。まず困っていることを主治医や相談支援センターに話してみるとよいかもしれません。また、同じような経験をもつピア*の存在に支えられることも少なくありません。同じ想いを分かち合い、寄り添ってくれる小児がん親の会や小児がん経験者の会が全国で活動をしています。
 地域においても、患児やきょうだい、家族を支えてくれる人たちがたくさんいます。保育や教育の場は子どもの成長の場でもあり、子どもを支えてくれる人がたくさんいます。担任の先生はもちろん、すべての小中学校には特別教育支援コーディネーターが配置されています。大学や専門学校の学生相談室を活用するのもよいでしょう。身近にいる人をどんどん頼りましょう。
*がんの経験者で、がんの患者さんやその家族が抱いている不安や悩みに対し、自らの経験を活かして仲間として支える人。

6.医療費や経済的な負担の軽減


 小児がんの療養生活をサポートするさまざまな制度やサービスがあります。下表に主なサービスをあげますが、この他にも、各自治体独自の制度や民間団体が行っているサービスもありますので、病院の相談支援センターや、区市町村の保健センターなどに困っていることを伝えてみてください。

 
 小児がん患児・経験者を支える主な社会的支援

1.医療費に関するもの
小児慢性特定疾病医療費助成制度  18歳未満(引き続き治療が必要と認められる場合には20歳未満)の方で、小児がん(悪性新生物)など国の定める疾病に該当し治療を要する方に対する助成制度。所得や病状に応じて医療費の一部が助成されます。
問合先:地域の保健福祉センター、保健センター、保健所など
高額療養費・限度額適用認定証  長期入院や、治療が長引く場合、医療費の一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度。あらかじめ「限度額適用認定証」の交付を受け、医療機関の窓口に提示することで、医療機関ごとにひと月の支払額が自己負担限度額までとなります。
問合先:加入する健康保険協会、健康保険組合、国民健康保険など
税金の医療費控除  1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合、または、合計所得額が200万円までの方は年間に支払った医療費が所得合計額の5%を超えた場合に、一定金額の所得控除を受けることができます。
問合先:税務署
東京都若年がん患者等生殖機能温存治療費助成事業  生殖機能に影響するおそれのある治療を受けるがん患者に対し、生殖機能温存治療及び妊娠のための治療に係る費用を東京都が助成しています。助成対象は「生殖機能温存治療」「組織等の凍結更新」「妊娠のための治療」の3種類です。
問合先:東京都福祉保健局
2.病気や治療にともなう障がいなどに関するもの (問合先:市区町村の担当窓口)
特別児童扶養手当  障がいのある20歳未満の児童を養育している方に対する手当。身体障害者手帳がなくても手続きができます。
障害児福祉手当  重度の障がいがあり、日常生活において常時介護を必要とする20歳未満の方に対する手当。身体障害者手帳がなくても手続きができます。
身体障害者手帳  身体障害者福祉法で定められた障がいのある方を対象とする手帳。障がいの程度による等級に応じて、医療費、交通費、税などの軽減、その他日常生活を支えるサービスなどを利用することができます。
療育手帳  知的障がいがあると診断された方を対象とする手帳。等級に応じたサービスが受けられます。
精神障害者保健福祉手帳  なんらかの精神障がい(てんかん、発達障害などを含む)により、長期に日常生活や社会生活に支障がある方を対象とする手帳。等級に応じたサービスが受けられます。
3.療養生活を支えるもの
がんの子どもを守る会療養援助事業  18歳未満で小児がんを発症した申請時20歳未満の抗腫瘍治療中の患児の家族で、
申請時の前年度の課税所得が400万円以下の世帯について、対象項目(移植の実施、難治な治療を要する、遠隔地での治療、未就学きょうだいがいる、世帯の課税所得100万円以下)が該当する場合に申請できます。
問合先:公益財団法人がんの子どもを守る会 http://www.ccaj-found.or.jp/cancer_info/recuperation/
小児がん交通費等補助金制度  小児がんと診断された申請時20歳以下の抗腫瘍治療中の患者の家族で、申請時における前年度の世帯税込年収が700万円未満(給与所得以外の方は世帯所得金額合計が316万円未満)の世帯について、病院と自宅が片道100km以上の場合の交通費・宿泊費の支援を受けられます。
問合先:認定NPO法人ゴールドリボン・ネットワーク https://www.goldribbon.jp/
アフラック小児がん経験者奨学金
(実施主体:がんの子どもを守る会)
 18歳未満で小児がんを発症し、経済的理由により高等学校などの教育機関への
就学が困難な小児がん経験者を対象にした返済不要の給付型奨学金制度です。
問合先:公益財団法人がんの子どもを守る会 http://www.ccaj-found.or.jp/support-01/
はばたけ!ゴールドリボン奨学金  小児がん経験者で、大学などへ進学を希望されているにもかかわらず、経済的理由により修学困難な方を支援することを目的とした、返済不要の給付型奨学金制度です。
問合先:認定NPO法人ゴールドリボン・ネットワーク https://www.goldribbon.jp/
遠方から専門病院で治療を受ける家族のための宿泊施設  自宅を離れて専門病院で治療を受ける患児・家族が滞在できる宿泊施設が全国に約130か所あります。
参考:JHHHネットワーク http://www.jhhh.jp/
医療ケア児の宿泊可能な施設、デイケア事業、キャンプやレジャー事業を行う施設  子どもたちが安心してすごすことのできる支援施設や入院中の子どもたちを支える活動が全国で広がっています。
参考:日本財団 https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/supporting_seriously_ill_children

7.入院中から考える保育・教育のこと

 子どもが成長発達していくうえで、遊びや学びは不可欠です。厳しい治療やなれない病院生活からのストレスを発散させ情緒の安定がはかられ、また、同じ年ごろの仲間と過ごす時間は、社会性を育み心身の成長発達を促すうえでも大切です。子どもの体調や気持ちに寄り添いながら、無理のないペースで進めましょう。

入院中も保育・教育を継続できます

 入院について保育園・幼稚園・学校に伝える際には、全てを伝えなくとも、現在わかっていることや、伝えてもよいと思うことを話せばよいでしょう。クラスメイトにどのように話してもらいたいかの希望も一緒に伝えると子どもも安心します。同じ学校にきょうだいがいるときには、きょうだいの担任にも伝え配慮をお願いしましょう。

 多くの病院では、病棟保育士や、院内学級や訪問学級が設置されており、入院中も保育・教育を受けることが可能です。もとの学校からの転籍の手続きなどが必要となりますが、急な入院に伴う手続きは負担が大きいので、相談支援センターなども活用しながら進めましょう。

退院後の生活を考えながら

 入院中も、もとの学校に戻ることを考え、定期的な連絡などでつながりを保てるようにしましょう。学級通信や授業のやりとり、子どもの希望を確認し、担任やクラスメイトとの交流の機会をもちましょう。

 退院が近づいてきたら、少しずつもとの保育園・幼稚園、学校に戻る準備をはじめましょう。病院での保育・教育の担当者と、地元の保育園・幼稚園・学校の関係者、主治医らが集い話し合いをもち、スムーズな復園・復学ができるようにお願いしましょう。復学にあたっては、学校生活において注意すべきこと、具合が悪くなった時や感染症が発生した際の対応、学校行事等への参加の可否、また、患児自身の容姿の変化や不自由さに対する不安感や、病気についてどのように周囲に伝えたいかなども率直に相談しておきましょう。

高校生の教育について

 入院期間の短期化などにより入退院を繰り返すケースが増加するなか、高校生になると学習が継続できない例もあり、その取組が遅れていることが指摘されています。文部科学省は、高等学校段階における入院生徒に対する教育保障体制整備事業などを実施し整備に努めています。また、入院中の高校生に対する遠隔教育(メディアを利用して行う授業)の要件についても、単位取得数等の上限緩和など柔軟な運用がはかられており、ICTなどを活用した単位取得や、課題をだしてもらうことで単位を取得した事例などが増えています。まずは、高校の先生にも相談してみましょう。病院の相談支援センターでも、入院中の学びが継続できるよう、病院内での環境調整や学校との調整に努めてくれます。

8.お家で安心してすごすために

 医療技術の進歩に伴い、小児がんの治療を終えてお家に戻られる子どもや、お家で過ごしながら治療を続ける子どもも増えてきました。また、積極的な治療からギアチェンジをし、つらさを和らげることを中心としたケアを受けながらお家での時間を過ごす子どももいます。その場合、家族と一緒に過ごす嬉しさとともに、ご家族にとっては、さまざまな不安や心配もあるかもしれません。必要な時には、訪問診療や訪問介護などを調整してもらうこともできますので、不安なことは遠慮なく相談しましょう。

自宅で生活するための準備

 退院前に、自宅で生活するために必要なことを医療者に確認しましょう。患児の体調管理や薬の飲み方について、感染症などに対する注意、予防接種の開始時期などについても確認しましょう。骨髄移植等の治療後に予防接種の再接種が必要になる場合もありますが、費用助成を行っている自治体も増えていますので、再接種する際には事前に市区町村の窓口にお問合せください。
 医療ケアを続けながらお家で過ごす時間が長くなると、緊張が続き疲れを感じることもあるかもしれません。医療ケアを必要とする患児・家族が短期間滞在できる施設なども整備が進んでいます。また、年齢にかかわらず外見(アピアランス)を気にしているお子さんもいます。アピアランスを整えることで、気分が明るくなったり、外出などに気持ちが向かうこともありますので、ウイッグやメイクなども積極的に活用してみましょう。

9.治療後の健康管理

 治療技術の進歩により7~8割が治るようになった一方で、病気そのものや化学療法・放射線など治療の影響により、疲れやすさや体調不良感など、慢性的な問題を抱える方がいることもわかってきました。治療後も、自分自身の健康を守るために生活習慣に特に気をつけましょう。

 小児がん治療後の長期的な影響のことを「晩期合併症」といいます。幼少期にはわからなくても、成長過程で影響がみえてくることもあります。現在は、病気の種類や受けた治療によって、どんな晩期合併症が起こりやすいかがわかってきていますので、病名、手術内容、化学療法で使われた薬の名前や使用量、放射線照射部位と線量など、治療内容について知っておきましょう。多くの小児がんの治療施設では、治療のサマリーとともに、治療後の長期的なフォローアップの方針について説明をしてもらえます。これらの情報は今後の健康管理のために重要なものですので、大切に保管しておきましょう。また、進学や就職など転居の際には、転居先の地域で長期フォローアップを受診できる施設について、事前に主治医に相談しておきましょう。

 体調についての悩み、人間関係や進路や将来への不安など、心理的な問題に直面した時にも、一人で抱え込まず、話をしてみようと思う人に話してみてください。健康管理について経験者自身の理解を深め、健やかに生活できるように、がんの子どもを守る会なども支援をしています。

10.子どもの成長、ライフイベントに寄り添いながら

 小児がんの特長として、がんの治療の後に、進学や就職、結婚などの大きなライフイベントを迎えることがあげられます。生活の場が変化し、新しい出会いのなかで、小児がん経験者が自身の病気について説明する機会がやってきます。周囲に知っておいてもらいたいことをどのように説明するか少しずつ準備しておくとよいでしょう。どう伝えるか悩んだときや、生活上の悩みや困難があったときに、同じ経験を分かち合う仲間からの助言が参考になったと多くの小児がん経験者が話しています。

就労について

 小児がん経験者の就労は、病気や晩期合併症などの状況によってもさまざまです。職場での配慮を必要としないときなどには必ずしも既往歴を周囲に伝える必要はないでしょう。職場に配慮をしてもらうことが働きやすさにつながる時には、具体的に職場の上司に相談してみましょう。障がい者手帳を取得することで、障がい者枠により福祉的な配慮を受けながら就職するという選択肢や利用できる社会資源が多くなる場合もあります。

 一方で、疲れやすさなど、周囲に理解されづらく、手帳にも結びつかない困難さを抱える経験者もいます。小児がん経験者の就労支援に取り組む民間団体や、ハローワーク、就労移行支援事業などを利用することもできます。相談支援センターやがんの子どもを守る会へ相談することもできます。時間がかかるかもしれませんが、根気よく、ご自身にあった職場を探しましょう。

妊孕性(にんようせい)について

 妊孕性とは、「妊娠のしやすさ」のことをさします。抗がん剤治療、放射線治療などのがん治療により、妊孕性が低下することがあります。都道府県による助成も始まり、がんに関する生殖医療は、地域でのネットワークなども築かれ少しずつ整備が進んでいます。治療の影響で不妊の可能性があるかもしれないなど心配をされる方は、まずは、主治医などに相談をしてみましょう。

ご家族の方へ

 小児がん経験者が自分の病気について知っておくことは、自立した生活を送るために必要です。病名や受けた治療、再発の可能性や起こりうる晩期合併症など、伝えることはたくさんありますので、健康管理の面から少しずつ自立に向けたバトンタッチに努めましょう。ときに、周囲が一般的な価値観をおしつけてしまうことや、親なりの子どもの自立のイメージを創り上げてしまっていることがあるかもしれません。一人ひとりの気持ちに寄り添いながら、チャレンジを応援していきましょう。

おわりに

 こちらに記したことは、いずれも考え方の一つで、こうしなければならないというものではありません。小児がんの診断を受けた時から、治療中、そして治療後の生活へと続く小児がん患児・経験者・ご家族の生活が、身近なたくさんの人により温かく支えられますように、本ページがその一助になれば幸いです。

<参考資料>

東京都小児がん診療連携協議会. 患者さんご家族へのご案内~医療費や経済的なご負担の軽減~, 2016,

東京都小児がん診療連携協議会. 患者さんご家族へのご案内~入院中から考える保育・教育・就労のこと~, 2017,

東京都小児がん診療連携協議会. AYA世代の方へのご案内~15~39歳の皆さんに知っておいてほしいこと~, 2021

東京都小児がん診療連携協議会. 患者さんご家族へのご案内~お家で安心して過ごすために~, 2019,

東京都小児がん診療連携協議会. 小児がん診断ハンドブック, 2015,

国立がん研究センター がん情報サービス. https://ganjoho.jp/public/index.html

公益財団法人がんの子どもを守る会. 子どものがんー病気の知識と療養の手引きー, 2008, http://www.ccaj-found.or.jp/materials_report/cancer_material/

 

(1)子どもの権利

公益財団法人がんの子どもを守る会. 小児がんの子どものきょうだいたち, 2017, http://www.ccaj-found.or.jp/wp-content/uploads/2012/03/b53c210e569c863fe0e1be5d978923812.pdf

(2)小児がんとは

“小児がんとは”. 国立がん研究センター がん情報サービス. https://ganjoho.jp/public/dia_tre/life_stage/child.html

(3)小児がん拠点病院、連携病院

“小児がん拠点病院”. 国立成育医療研究センター. https://www.ncchd.go.jp/center/activity/cancer_center/cancer_kyoten/index.html

“東京都小児がん診療連携ネットワークについて”. 東京都福祉保健局

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/iryo_hoken/gan_portal/research/taisaku/shoni_taisaku/network/index.html

(4)正しい知識と情報を得ましょう

“小児がんの相談窓口”. 国立がん研究センター がん情報サービスhttps://ganjoho.jp/public/institution/consultation/cisc/childhood.html

公益財団法人がんの子どもを守る会. http://www.ccaj-found.or.jp/

(5)ひとりで抱え込まずに

“東京都若年がん患者等生殖機能温存治療費助成事業について”. 東京都福祉保健局

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/iryo_hoken/gan_portal/chiryou/seishoku/josei.html

“小児がん親の会、小児がん経験者の会”. 公益財団法人がんの子どもを守る会. 

http://www.ccaj-found.or.jp/cancer_info/survivor_parents/

(7)入院中から考える保育・教育のこと

“病気療養等により支援が必要な児童生徒のための遠隔教育Q&A”. 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所. 2021-07,

https://www.nise.go.jp/nc/report_material/research_results_publications/specialized_research

“入院児童生徒等への教育保障 体制整備事業事例整理集”. 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所. 2021-07,

https://www.nise.go.jp/nc/report_material/research_results_publications/specialized_research

(9)治療後の健康管理

“がんの子どもの晩期合併症/長期フォローアップ”. 国立がん研究センター がん情報サービス

https://ganjoho.jp/public/support/child_care/follow_up.html

“長期フォローアップについて”. JCCG日本小児がん研究グループ. http://jccg.jp/about/clinicalresearch_list/tyouki-fu/

小児・AYA世代がん経験者みんなの健康管理サイト. 公益財団法人がんの子どもを守る会. http://kenkokanri.ccaj-found.or.jp/

(10)子どもの成長、ライフイベントに寄り添いながら

一般社団法人CSR(Cancer Survivors Recruiting)プロジェクト. http://www.workingsurvivors.org/index.html

認定NPO法人ハートリンクワーキングプロジェクト. http://cchlwp.com/

“東京都特定不妊治療費助成について”. 東京都福祉保健局
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/kosodate/josei/funin/top.html

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