不安障害〜不安が消えないあなたに〜 東京都立(総合)精神保健福祉センター 不安とは 不安とは 誰でも何か気がかりなことがあると「気持ちが落ち着かない」、「心配事が頭から離れない」といった心理状態になります。しばしば、動悸や息苦しさ、冷や汗のようなからだの症状を伴うこともあります。これは不安といわれるもので、私たちが生活の中で感じる当たり前の感情の一つです。不安を感じることにより、私たちは危険な状況を避けたり、事前に準備をして問題解決へ向けて行動を起こすことができます。 病的な不安と不安障害 不安があってもすべてが病気や障害ではありません。しかし、その不安がずっと続いたり、特別な理由もないのに不意に不安になったり、不安の程度が強く日常生活に支障が生じる場合は、病的な不安である可能性があります。こうした病的な不安を主な症状とする病気を不安障害といいます。 不安と精神疾患 不安は、うつ病や統合失調症など不安障害以外の様々な精神疾患でもみられます。また、不安を軽くしようとして、お酒や市販薬などに依存的になったり、過食が止まらなくなることもあります。ひとくちに不安といっても、その背景には様々な要因が考えられますのでひとりで悩まず、早めに精神科や心療内科等の医療機関や相談機関にご相談ください。 不安障害 精神的な不安から、こころとからだに様々な不快な症状が起こります。 不安障害には、いくつかの疾患があります。 パニック障害 突然理由もなく、強い不安や恐怖におそわれます(パニック発作)。 「このまま死んでしまうのではないか」と感じるほどの症状で、救急で病院を受診することもありますが、心電図などの身体的検査をしても特に異常は発見されません。このような発作を繰り返すうちに、また発作が起こるのではないかと恐れる『予期不安』や、発作が起こりそうな場所や状況を避ける『回避行動』により、外出ができなくなってしまうなど日常生活に支障をきたします。 パニック障害は、100人のうち1〜2人がかかるといわれており、決してめずらしい病気ではありません。女性の方が男性より発症しやすいといわれています。  パニック障害の症状 突然の強い不安感とともに 以下のような症状が現れます。 ・心臓がドキドキする(動悸、心拍数の増加) ・胸の痛みや不快感 ・冷や汗 ・からだや手足の震え ・過呼吸や息苦しさ ・息が詰まるような窒息感 ・めまい、ふらつき など 全般性不安障害 自分ではどうすることもできない、様々な出来事に対して、通常考えられる以上の不安が、頻繁に、長期間にわたって持続し、こころやからだの症状を伴う病気です。 こころの症状 ・些細なことで不安になる ・イライラして怒りっぽい ・注意散漫になる ・悲観的になる ・気分が落ち込む ・そわそわと落ち着きがない ・人に会うのが煩わしい など からだの症状 ・冷や汗 ・頭痛、頭重感、頭の圧迫感 ・めまいのような感覚 ・手足の冷感や熱感 ・寝つきが悪い ・途中で目が覚めやすい ・便秘または下痢、頻尿 など 社交不安障害 人前で話したり、何かをするような場面で、失敗したり恥をかいたりすることに強い不安を感じ、そのような場面を避けるようになります。 ・人前で話さなければならない時、緊張して頭が真っ白になってしまう ・人前で顔が赤くなってしまうように感じる ・人前で字を書こうとすると震えてうまく書けず、紙が濡れるほど汗をかいてしまう ・会食の場面で人の目が気になり食べ物が食べられないなど その他 公共の場所(人混み、電車やバスなどの乗り物)などで何か起きた時にすぐに逃げられないような状況に強い恐怖を感じ、仕事や日常生活に支障をきたす広場恐怖、閉所・高所、先のとがったもの、動物など特定のものや状況に対して強い恐怖心をもつ特異的恐怖症などの不安障害があります。 医療機関での治療 医療機関での治療は、大きく薬物療法と精神療法に分かれます。 薬物療法 うつ病治療にも使用する抗うつ薬が処方されます。不安、緊張感を一時的に軽減する抗不安薬もしばしば使用されますが、依存性があるため長期間の使用には注意が必要です。不眠症状がある場合、睡眠障害のタイプに応じた睡眠薬などが処方されます。 処方薬は、必ず主治医の指示どおりに服用し(自分で増減や中断をしない)、症状の変化や副作用など心配なことがありましたら主治医にご相談ください。 精神療法 不安な気持ちや生活の心配を主治医に話し、それに対する助言を受けます。症状に合わせて、認知行動療法、エクスポージャー療法などを行うこともあります。心理職によるカウンセリングを実施している医療機関もあります。 認知行動療法 ものの考え方や受け取り方(認知)をよりバランスの良いものにし、ストレスに上手に対応できるようにしていく治療法 エクスポージャー療法 安全に配慮しながら、不安が生じる状況(想像の中、または実際)に段階的に向き合い、不安を克服していく治療法 ご家族や周囲の方の関わりのポイント ご本人は、不安や恐怖に長期間さらされてきたことで、考え方や行動に変化をきたし、日常生活に支障が出ています。まずは、ご本人の不安や辛さを受け止め、話を聴いてください。ご家族が相談機関を利用するのも良いでしょう。温かい目で回復を見守り、安心感を与えましょう。 公的な相談機関 お住まいの地域を管轄する保健所や保健センター、精神保健福祉センター等でご相談に対応しています。 保健所・保健センター お住まいの地域ごとに相談窓口があります。各保健所・保健センター等にお問い合わせください。 東京都立(総合)精神保健福祉センター 東京都立中部総合精神保健福祉センター 〒156-0057 世田谷区上北沢2ー1ー7  相談電話:03-3302-7711(平日9時〜17時) 担当地域:港区、新宿区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、練馬区 東京都立精神保健福祉センター 〒110-0004 台東区下谷1ー1ー3 相談電話:03-3844-2212(平日9時〜17時) 担当地域:千代田区、中央区、文京区、台東区、墨田区、江東区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、足立区、葛飾区、江戸川区、島しょ地域 東京都立多摩総合精神保健福祉センター 〒206-0036 多摩市中沢2ー1ー3 相談電話:042-371-5560(平日9時〜17時) 担当地域:多摩地域全域 東京都夜間こころの電話相談 電話03-5155-5028 毎日17時〜22時(受付は21時30分まで) 令和4年3月発行  登録番号(3)8