東京都 統合失調症 統合失調症とは およそ100人に1人が罹患する頻度の高い病気で、15〜35歳に発症する人が大半を占めます。原因に関しては、現在でもはっきりしたことがわかっていません。経過はひとりひとり違いますが、治療を続けることによって、少しずつ回復していきます。 主な症状 幻覚: 実際には聞こえない声や音が聞こえる幻聴や、体に感じる幻覚などがあり、本人には現実に起こっていることとして体験されます。 妄想: 他人の何気ない言動を自分に関係づけたり、「被害を受けている」「監視されている」と思い込んだりしてしまい、訂正が困難になります。 生活の障害: 幻覚や妄想などの症状と、意欲の低下、自然な感情表出が乏しくなるなどの生活のしづらさが見られます。 病識の欠如: 自分が病気であることを認められず治療を拒否したり、幻覚、妄想の存在を現実のものと認識し、否定する人を怒ることもあります。 質問 精神科への受診をどのように勧めたらよいでしょうか? 答え 精神症状の強い時、本人は、自分自身に変調があるのか周りの環境が変容しているのか、見分けが困難な状況にあります。そのとらえどころのなさが本人にとっては大変不安であり、また精神科へ受診する抵抗感にもつながっています。その事を踏まえて接する必要があります。本人の意向もよく聴きながら、受容的に受診を進めていくことが大切です。 治療 薬物療法が中心になります。あわせて心理社会的療法が行われます。 薬物療法 抗精神病薬が処方されます。症状によって、抗不安薬や睡眠導入剤等が併用されることがあります。 質問 薬を飲まないとどうなるのですか? 答え 症状がなくなったからといって服薬を中断すると、再発の危険性が高まります。服用中、もし副作用(眠気、手の震え、口の渇き、便秘)などが起きて、薬や服薬に対する疑問が生じた際には、自分の判断で服薬を止めてしまう前に、まずは主治医に相談してみましょう。 心理社会的療法 治療の必要性や治療方針を本人が理解しながら、社会適応の向上を進めていく各種のアプローチのことを言います。本人の様子に合わせて、主治医が組み合わせていきます。 精神療法: 本人の様子や悩み事を聴きながら、様々な助言を行い、症状や苦痛の軽減を図ることを目指します。 心理教育: 本人や家族が、病気や治療について学び、病気に対処できるようにすることを目指します。 社会生活技能訓練(SST): 具体的な生活場面での対応法を学び、病気によりうまくいかなくなった生活技能の回復を目指します。グループによるロールプレイなどを行います。 作業療法: 手工芸やレクリエーションなど様々な活動を通じて、意欲の向上などを目指します。 認知行動療法: 幻覚や妄想に対する対処法を身に付け、症状を自分でコントロールできることを目指します。 再発 統合失調症は、治療によって病状が改善したのちに、服薬の中断、強いストレスがかかる等で生活習慣が乱れると、病気が再発する場合があります。治療の継続と生活の工夫をしながら、再発予防をしていくことが大切です。 経過 適切な治療を行った場合の経過(例) 前駆期(前ぶれ) はっきりした精神症状はありませんが、不眠やイライラが生じたり、音に敏感になったりすることがあります。 再発の時には、前ぶれの時期に早目の対応をして、状態の悪化を防ぐことも大切です。 急性期 不安、恐怖、周囲への不信感などが強くなり、人柄が変わったように見えることがあります。「幻覚」や「妄想」などが現れ、時には、大声を上げる、興奮するなどの症状がみられます。 薬物療法と安心できる環境が何より必要です。 消耗期 治療によって急性期の症状が治まったあと、疲れやすく、根気や集中力が続かない状態になり、人によっては自分の殻に閉じこもりがちになります。 再発が起こりやすい時期でもあります。無理をせずに、規則正しい生活リズムを保つことが基本です。 回復期 本人の元来持っていた周囲への関心が回復し、気持ちに余裕が生まれてきます。 主治医や周囲の人の支援を受けながら、本人の強みを活かし、本人の望む生活を目指します。 家族の役割 正しい知識を得ましょう。 再発のサインを見逃さないようにしましょう。 適切な治療を受けられるように協力しましょう。 長い目で見守り本人のペースを尊重しましょう。 家族会、家族教室等に参加し、病状について学び家族同士で励ましあう機会を持ちましょう。 ご家族が自分自身の楽しみや生きがいを持ちましょう。 利用できる制度、福祉サービス 医療に関すること 自立支援医療制度、精神科デイケア、精神科訪問看護 区は、保健所・保健センター・医療機関等 市町村は、障害支援の窓口、医療機関等 暮らしと社会生活 障害福祉サービスの利用、精神障害者保健福祉手帳 区市町村の障害支援の窓口、相談支援事業所など 日常生活自立支援事業 社会福祉協議会 経済的なこと  障害年金、生活保護、生活福祉資金貸付制度 区市町村の障害支援の窓口、社会福祉協議会など 就労に関すること  ハローワーク、東京障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、区市町村の障害者就労支援センター 就労移行支援事業所、就労継続支援事業所など サービスを受けるための条件などについてはそれぞれ異なります。詳しくは相談機関にお問い合わせください。 公的な相談機関 保健所・保健センター お住いの区市町村ごとに管轄が決まっています。 市町村相談窓口 多摩および島しょ地域では、生活・自立支援医療・福祉サービスなどについては、市町村窓口が担当です。 東京都立(総合)精神保健福祉センター 東京都立中部総合精神保健福祉センター 〒156-0057 東京都世田谷区上北沢二丁目1番7号 相談電話:03(3302)7711(平日9時〜17時) 担当地域: 港区、新宿区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、練馬区、 東京都立精神保健福祉センター 〒110-0004 東京都台東区下谷一丁目1番3号 相談電話:03(3844)2212(平日9時〜17時) 担当地域: 千代田区、中央区、文京区、台東区、墨田区、江東区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、足立区、葛飾区、江戸川区、島しょ地域 東京都立多摩総合精神保健福祉センター 〒206-0036 東京都多摩市中沢二丁目1番地3 相談電話:042(371)5560(平日9時〜17時) 担当地区:多摩地域全域 東京都夜間こころの電話相談 電話番号03(5155)5028 午後5時から午後10時(受付は午後9時30分まで) 令和2年3月発行