アルコール依存症 その理解と回復のために 東京都立(総合)精神保健福祉センター アルコール依存症とは 飲酒を自分でコントロールできなくなること。 ●アルコール依存症は、飲酒によって問題が発生しているのに、自分ではどうにも止められず、健康や社会生活に支障をきたしてしまう「病気」です。 ●お酒好きとの境界線は、「飲む量や時間をコントロールできるか」「飲酒を控えるべき状況で控えることができるか」です。 問題になる飲酒とは? 少量のアルコールは血行促進やリラックス効果がありますが、その反面、身体や心にいろいろな影響があることが知られています。 このような飲み方の場合は要注意!! ◆一度飲み始めると歯止めがきかなくなる。 ◆飲酒のせいで身体に何らかの異常や病気が現れてくる。 ◆酔うと必ず、何らかの不始末や迷惑行為、事故やトラブルなどの「問題」を起こしている。 節度ある適度な飲酒とはどのぐらい? 成人男性 一日当たりビール250〜500mlもしくは、日本酒0.5〜1合 成人女性 一日当たりビール250mlもしくは、日本酒0.5合 (飲酒習慣のない方にこの量の飲酒を推奨するわけではありません。) 厚生労働省「健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料」より 飲酒のコントロールができないことで悩んでいたら、一人で抱え込まずに相談にいらしてください。 こんな症状がみられます 極めて強い飲酒欲求 飲酒量や時間のコントロールが難しい 同じ量では酔えず、飲酒量が増えていく 酒を控えると調子が悪くなる(手の震え、発汗、イライラ、不眠等) よくないとわかっていても飲んでしまう 飲酒以外に関心が持てない ◎家族関係の悪化や、経済的な問題を抱えるなど、家庭生活や社会生活への影響も見られます。 治療が必要な病気です ◆意志の弱さや性格の問題ではなく、治療が必要な病気です。放置すると、社会生活の破綻や生命にかかわることもあります。 ◆飲酒でそこなわれた身体の治療と、「飲まずにいられない」心の状態を改善する取組みの両方が必要です。治療では薬物療法および心理療法や生活習慣の改善などが行われます。必要に応じて入院治療を行います。 ◆初めから断酒にこだわらない治療アプローチも行われるようになってきています。また、新しい作用をもつ薬も開発されています。 ◆家族も依存症について学ぶことがとても大切です。 ◆同じ体験をした回復をめざす人々の集まり(自助グループ)への参加が回復に役立ちます。 早期発見のヒント AUDIT オーディット(アルコール使用障害同定テスト) 1.あなたはアルコール含有飲料をどのぐらいの頻度で飲みますか? 0.飲まない 1.1ヶ月に1度以下 2.1ヶ月に2〜4度 3.1週に2〜3度 4.1週に4度以上  点 2.飲酒するときには通常どのくらいの量を飲みますか? ただし「日本酒1合= 2ドリンク」「ビール大瓶1本= 2.5ドリンク」「ウィスキー水割りダブル1杯= 2ドリンク」「焼酎お湯割り1杯=1ドリンク」「ワイングラス1杯=1.5ドリンク」「梅酒小コップ1杯=1ドリンク」とします。 0.1〜2ドリンク 1.3〜4ドリンク 2.5〜6ドリンク 3.7〜9ドリンク 4.10ドリンク以上  点 3.1度に 6ドリンク以上飲酒することがどのくらいの頻度でありますか? 0.ない 1.1ヶ月に1度未満 2.1ヶ月に1度 3.1週に1度 4.毎日あるいはほとんど毎日  点 4.過去 1年間に、飲み始めると止められなかった事がどのくらいの頻度でありましたか? 0.ない 1.1ヶ月に1度未満 2.1ヶ月に1度 3.1週に1度 4.毎日あるいはほとんど毎日  点 5.過去 1年間に、普通だと行えることを飲酒していたためにできなかったことが、どのくらいの頻度でありましたか? 0.ない 1.1ヶ月に1度未満 2.1ヶ月に1度 3.1週に1度 4.毎日あるいはほとんど毎日  点 6.過去 1年間に、深酒の後体調を整えるために、朝迎え酒をせねばならなかったことが、どのくらいの頻度でありましたか? 0.ない 1.1ヶ月に1度未満 2.1ヶ月に1度 3.1週に1度 4.毎日あるいはほとんど毎日  点 7.過去 1年間に、飲酒後、罪悪感や自責の念にかられたことが、どのくらいの頻度でありましたか? 0.ない 1.1ヶ月に1回未満 2.1ヶ月に1回 3.1週に1回 4.毎日あるいはほとんど毎日 点 8.過去 1年間に、飲酒のため前夜の出来事を思い出せなかったことが、どのくらいの頻度でありましたか? 0.ない 1.1ヶ月に1度未満 2.1ヶ月に1度 3.1週に1度 4.毎日あるいはほとんど毎日 点 9.あなたの飲酒のために、あなた自身か他の誰かがけがをしたことがありますか? 0.ない 2.あるが、過去1年にはなし 4.過去1年間にあり 点 10.肉親や親戚・友人・医師あるいは他の健康管理にたずさわる人が、あなたの飲酒について心配したり、飲酒量を減らすように勧めたりしたことがありますか? 0.ない 2.あるが、過去1年にはなし 4.過去1年間にあり 点 AUDITの結果が15点以上の場合は、アルコール依存症が疑われます。 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム【平成30年度版】」より抜粋 家族の方へのアドバイス ◆依存症は本人が気づきにくい病気です ・依存症であることを本人が認めなくても、医療機関への受診を勧めてください。家族が同行することも有効です。 ◆家族からの相談もできます ・家族だけで解決するのは難しい病気です。 ・飲酒に問題を感じたら、専門相談機関に相談しましょう。 ◆治療には家族や友人の支えが重要です ・家族が正しい対応法を学ぶことは、本人の回復を助けるうえで重要です。例えば、本人の飲酒で起こった問題を家族が肩代わりをすると、多くの場合問題が深刻化します。 ◆家族自身への支援が必要なこともあります ・依存症による問題で、家族も疲弊しがちです。 ・公的な相談機関では家族のための相談ができます。 ・家族向けの自助グループもあります。 ◇公的な相談機関◇ ◆東京都立(総合)精神保健福祉センター  東京都立(総合)精神保健福祉センターでは、「東京都依存症相談拠点」として、アルコールや薬物、ギャンブル等の依存症などについて、ご本人やご家族等、あるいは関係機関からの相談を受けております。 ◎東京都立中部総合精神保健福祉センター 〒156-0057 世田谷区上北沢二丁目1番7号 相談電話:03-3302-7711(平日9時〜17時) 担当地区:港区、新宿区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、練馬区 ◎東京都立精神保健福祉センター 〒110-0004 台東区下谷一丁目1番3号 相談電話:03-3844-2212(平日9時〜17時) 担当地域:千代田区、中央区、文京区、台東区、墨田区、江東区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、足立区、葛飾区、江戸川区、島しょ地域 ◎東京都立多摩総合精神保健福祉センター 〒206-0036 多摩市中沢二丁目1番地3 相談電話:042-371-5560(平日9時〜17時) 担当地域:多摩地域全域 *各精神保健福祉センターでは、依存症について学び合う家族教室を行っています。 ◆保健所・保健センター等 都の保健所や区の保健センター等、お住まいの地域ごとに相談窓口があります。各保健所等にお問い合わせください。 令和元年11月発行 登録番号6